2009.09.28 *Mon
[短い小説]やりなおす
「開いている?」
「開いていますよ!」
「お姉さん、連休なのに休まないんだね?」
「年中無休です。どうぞ!」
「ひょっと前を通りかかって、看板が目に入ったものだから。今まで占いなんてしてもらったことはないんだけど!」
「何を占いましょうか?」
「亭主の安否をさ! 漁に出たまま行方不明になって、4日になる!」
「あ。もしや先日の新聞に出ていた……それはそれは。さぞや、ご心配なことでしょう」
「そろそろ諦めた方がいいとは、分かっているけどね」
「簡単に諦めるものではありませんよ。この水晶玉で、ご主人が今どこにおられるか占ってみましょう……あ、青い色が見えてきました。一面の青い色です」
「青い色……海の水の中だよね」
「……ブルーシートのようです」
「何だって?」
「青いビニールシートです」
「ビニールシート? もう仏さんになって、そんなものにくるまれているってこと? でも海保からも警察からも何も連絡はないよ!」
「……知らせはくると出ています。でも、いい知らせか悪い知らせかは……」
「そうだよね……海保の人たちが毎日毎日、世間は連休で浮かれているってのに、朝から夜まであんなに一生懸命に捜してくれているから、もしかしたら生きて見つかるかもという気持ちもあったけれども」
「何かの状況で、ご無事でおられることだってあるのではないですか?」
「海保の人も、そっくり同じことを言うよ。でもね……亭主の乗っていた船を、沖でカラで見つけているんだ」
「そうですか……もう少し、タロットでも占ってみましょうね」
「こんなことになるのなら、もっと亭主によくしてやればよかったよ! 長年いっしょに暮らしていると、相手のアラばっかりが目につくようになって。顔を見ればがみがみと、辛く当たってばかりだった。亭主はおとなしい人で、文句ひとつ言い返さないでさ。いい人は長生きしないって、本当かもしれないね!」
「……見てください」
「何だい? その骸骨の絵は?」
「タロットの『死神』のカードです」
「じゃあ、やっぱり亭主は……もういいよ、分かった」
「カードが逆位置ですから『やりなおす』の意味になります」
「何だって?……おや、電話? あたしの携帯電話だ。ちょっとごめんなさいよ……もしもし? え、警察?」
▽熊本で4日不明の男性、知人宅に
「帰りたくない」と海難偽装
「無人で漂流する船を見つけた」と家族から通報があり、熊本海上保安部などが4日間にわたって行方を捜索していた熊本市の漁業の男性(60)が24日、熊本県城南町の知人方で見つかった。男性は「妻と不仲で帰りたくなかった」と事故を装った理由を話している。
熊本海保などによると、男性は20日深夜、1人で熊本市沖に出漁。翌日未明に誤って海に転落し、「この方法で身を隠そう」と思い立った。港に戻り、別の船をロープでえい航して出港。乗っていた船を海に残し、再度港に帰ったという。
21日午後、帰宅しないため捜索していた家族が無人の船を発見。熊本海保や県警などがヘリコプターや巡視艇を投入し、“連休返上”の態勢で行方を捜していた。男性は知人方に宿泊したほか、野宿もしていたらしい。熊本海保の担当者は「まさか陸にいるとは思わなかった。二度としないでほしい」と拍子抜けした様子だった。
2009/09/24 21:13【共同通信】47NEWS
(終)

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(注)上記はニュースサイトに掲載された記事ですが、小説部分は全くのフィクションで、実際の事件とは一切関係ありません
「開いていますよ!」
「お姉さん、連休なのに休まないんだね?」
「年中無休です。どうぞ!」
「ひょっと前を通りかかって、看板が目に入ったものだから。今まで占いなんてしてもらったことはないんだけど!」
「何を占いましょうか?」
「亭主の安否をさ! 漁に出たまま行方不明になって、4日になる!」
「あ。もしや先日の新聞に出ていた……それはそれは。さぞや、ご心配なことでしょう」
「そろそろ諦めた方がいいとは、分かっているけどね」
「簡単に諦めるものではありませんよ。この水晶玉で、ご主人が今どこにおられるか占ってみましょう……あ、青い色が見えてきました。一面の青い色です」
「青い色……海の水の中だよね」
「……ブルーシートのようです」
「何だって?」
「青いビニールシートです」
「ビニールシート? もう仏さんになって、そんなものにくるまれているってこと? でも海保からも警察からも何も連絡はないよ!」
「……知らせはくると出ています。でも、いい知らせか悪い知らせかは……」
「そうだよね……海保の人たちが毎日毎日、世間は連休で浮かれているってのに、朝から夜まであんなに一生懸命に捜してくれているから、もしかしたら生きて見つかるかもという気持ちもあったけれども」
「何かの状況で、ご無事でおられることだってあるのではないですか?」
「海保の人も、そっくり同じことを言うよ。でもね……亭主の乗っていた船を、沖でカラで見つけているんだ」
「そうですか……もう少し、タロットでも占ってみましょうね」
「こんなことになるのなら、もっと亭主によくしてやればよかったよ! 長年いっしょに暮らしていると、相手のアラばっかりが目につくようになって。顔を見ればがみがみと、辛く当たってばかりだった。亭主はおとなしい人で、文句ひとつ言い返さないでさ。いい人は長生きしないって、本当かもしれないね!」
「……見てください」
「何だい? その骸骨の絵は?」
「タロットの『死神』のカードです」
「じゃあ、やっぱり亭主は……もういいよ、分かった」
「カードが逆位置ですから『やりなおす』の意味になります」
「何だって?……おや、電話? あたしの携帯電話だ。ちょっとごめんなさいよ……もしもし? え、警察?」
▽熊本で4日不明の男性、知人宅に
「帰りたくない」と海難偽装
「無人で漂流する船を見つけた」と家族から通報があり、熊本海上保安部などが4日間にわたって行方を捜索していた熊本市の漁業の男性(60)が24日、熊本県城南町の知人方で見つかった。男性は「妻と不仲で帰りたくなかった」と事故を装った理由を話している。
熊本海保などによると、男性は20日深夜、1人で熊本市沖に出漁。翌日未明に誤って海に転落し、「この方法で身を隠そう」と思い立った。港に戻り、別の船をロープでえい航して出港。乗っていた船を海に残し、再度港に帰ったという。
21日午後、帰宅しないため捜索していた家族が無人の船を発見。熊本海保や県警などがヘリコプターや巡視艇を投入し、“連休返上”の態勢で行方を捜していた。男性は知人方に宿泊したほか、野宿もしていたらしい。熊本海保の担当者は「まさか陸にいるとは思わなかった。二度としないでほしい」と拍子抜けした様子だった。
2009/09/24 21:13【共同通信】47NEWS
(終)
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(注)上記はニュースサイトに掲載された記事ですが、小説部分は全くのフィクションで、実際の事件とは一切関係ありません
COMMENT
>日下ヒカルさん
ニュースは実話ですよん
事実は小説より奇
エビチリと似たよな設定になっちゃいました
物語のバリエーションを鍛えねばです
損害賠償は、そういえば可能性ありますね
いくらだろう……(~_~;)
> その後の占い結果が出たら面白いかも?
ああ、そうか! 思いつかなかった!!
事実は小説より奇
エビチリと似たよな設定になっちゃいました
物語のバリエーションを鍛えねばです
損害賠償は、そういえば可能性ありますね
いくらだろう……(~_~;)
> その後の占い結果が出たら面白いかも?
ああ、そうか! 思いつかなかった!!
ニュースは実話なんだ!
(^^;こりゃまた壮大な家出ですね。。。
なんとまぁ・・・
いやはや、夫婦喧嘩を国家レベルでやられるとこれって損害賠償とかあるのかな?
その後の占い結果が出たら面白いかも?
奥さんその場で離婚届を取りに役所に行きそう(^^;;;;
なんとまぁ・・・
いやはや、夫婦喧嘩を国家レベルでやられるとこれって損害賠償とかあるのかな?
その後の占い結果が出たら面白いかも?
奥さんその場で離婚届を取りに役所に行きそう(^^;;;;
